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地味だけど効果がある、デザインのプレゼンテーションスキルを上げる8つのコツ

デザインのプレゼンテーションスキルを確実に上げる8つのコツ

デザイナーは成長する中で、デザイン自体を作る力に加え、そのデザインを第三者に説明するプレゼンテーションの能力が求められるようになります。自分自身でデザインを作っている時には、頭の中だけで、そして自分自身の中だけでその説明が完結していれば良いのですが、いざ第三者に分かりやすく、言葉で伝えるシチュエーションになった時、しどろもどろになった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。今回はそんなプレゼンテーションに必要な準備やコツといったところを、制作のフローの部分から照らし合せてまとめてみたいと思います。

デザイン制作時

(1)なぜそのデザインにしたのかを書き出そう

デザインを作成している際、「○○を表現するためにここの配色は○○にする」「○○な制約があるのでここは○○にしよう」といった判断をしているはずです。しかし、制作中は自分の頭の中だけでその考えが完結していれば良いので、わざわざ言葉にしておくようなことはしないでしょう。しかしながら、実はこれがいざ第三者に説明する際にスラスラと言葉が出てこない原因と言えるのです。頭の中で考えていることと、言葉に出して説明することには、大きな差があります。そのデザインがなぜその形であるべきなのか、その色であるべきなのかを自分の中で整理し、箇条書き程度でも文章でまとめるところまで落とし込めていれば、口頭で説明する際にはその言葉を思い出すことができます。もちろん慣れれば、わざわざ文章に書き出す必要もなく聞き手に説明できるレベルに到達しますが、なかなか人前でスラスラと言葉が出てこない人は、きちんと文章を作ってメモしておく、といった行動をとっておくべきでしょう。

プレゼンテーション前

(2)伝える内容とその背景を深く理解しよう

プレゼンテーション時には、作成したデザインに対する説明以外にも、現在のUIデザインにおけるトレンドやユーザビリティに関する知識、配色に関する知識、テクニカルな知識まで、聞き手からの質問に対してその場その場で自分の引き出しを開けて、説明できなければなりません。一夜漬けで提案書の中身だけを説明できるように頭に入れたとしても、説明が終わった後に実のある議論を展開することはできないでしょう。そのためにも、日々自分の関わる専門知識を深く理解し、人に説明できるレベルにまで引き上げておく必要があります。たとえば、誰かが書いた専門的な記事を読んで「ふーんなるほど」と思っているだけではこの力は強化されません。日々、書く、話す、といった行動が伴って、自分の筋肉となってプレゼン時の自分を支えてくれるものだと言えます。

(3)声に出して練習しよう

とても基本的なことですが、実際に声に出して話す練習をすることが、プレゼンテーション時の緊張を何より和らげる対策の一つです。かの素晴らしいプレゼンで世間をアッと言わせ続けたスティーブ・ジョブズも、声に出して何度もプレゼンテーションのリハーサルを重ねていたことは、ネット上の様々な記事でも見られる有名な話です。プレゼンテーションで緊張して言葉がスラスラと出ない人ほど、実は練習をしていない人が多いようです。デザインを作っている時には自分の頭の中で説明を考えているので、それをそのまま話せば良いという話しなのですが、いざ人前に立つと緊張して頭が真っ白になることは誰もが経験することです。そんな時でも練習を重ねていれば、ふとした拍子にその練習を思い出し、説明を続けることができるのです。また、練習は自分のプレゼンテーションにおける欠点を知るためにもとても有効です。きちんと人に伝わる声を出せているか、自信をもった話し方ができているか、ごまかしたような説明になっていないかなど、多くの改善ポイントを知ることができます。一度自分の説明音声を録音し、客観的に聞き直すのも非常に効果的です。

プレゼンテーション時

(4)説明資料は読まないようにしよう

プレゼン時には説明資料などを作成して自分と聞き手の手元に置き、その資料を一緒に見ながら説明することが多くあると思います。その際、資料の中に書かれている文字をそのまま読むような説明は、聞き手にとっては非常に退屈で、心に響かない説明になります。プレゼテーションの場では資料にある内容を、資料の中の言葉とは別の言葉で説明すると良いでしょう。見出しなどのポイントとなる部分だけは読んでもかまいませんが、その詳しい内容については細かい文章は追わず、自分自身の言葉の引き出しから説明すると、聞き手に伝わりやすい説明になります。

(5)例を話そう

資料の中に書いてある言葉以外で何を話せば良いのか?という話ですが、その際には「他社さんの例では…」「私の経験では…」といった具合に、実際の体験談や事例話すことも有効です。資料の中の話だけではない、別の角度でその内容を見つめることができ、かつ聞き手と似た会社や人、業務の人であれば、グッと理解が深まります。

(6)「伝えること」を目的にしないようにしよう

プレゼンテーション初心者が陥る落とし穴として、目的が「相手に内容を伝えること」にすり替わることがあります。気合いを入れて作ったプレゼン資料を読み込み、ここではこう説明しよう、ここではこの例題を話そうなど、色々と考えてプレゼンに臨むと思いますが、「相手に内容を伝えること」を最終目的にしてしまうと、説明を終えたところで燃え尽きてしまいまい、その後のディスカッションが有意義なものにならないという本末転倒な結果を招くことがあります。プレゼンテーションで重要なのは、聞き手の意思決定を促すことです。そのためには、目先の「相手に内容を伝えること」に焦点を当てるのではなく、プロジェクト全体の中での何のためのプレゼンテーションなのか?という部分を理解し、それを説明前に聞き手にも共有した上で、最終的な意思決定につなぐ流れを意識する必要があります。デザインの説明であれば、最終的にそのデザインのどこが良くて、ダメな部分はどこで、どのようにブラッシュアップするのかを、プレゼン後にきちんと聞き手と共有できているかどうかがポイントになります。

(7)話す時間のバランスを考えよう

プレゼンテーションの時間は限られています。1時間の会議のうち、40分がデザインプレゼンテーションで使える場合、説明に30分を使ってしまうと、議論に残された時間は10分と少なくなり、結果的にその場で話が進まないまま終了、もしくは次回へと持ち越しとなってしまいます。説明する内容にもよりますが、その内容はどのくらいの時間を使って説明するべきなのか?を考えておく必要があります。また聞き手の認識のレベルに応じて「ここはそんなに時間をかけて話さなくても良い」という判断ができると、さらにプレゼンテーションの時間を有効に使うことができるでしょう。

プレゼンテーション終了後

(8)失敗した点を記録しよう

私はプレゼンテーションを行った日は、決まってそのプレゼンテーションはどんな点が良かったのか、どんな点が悪かったのか、次回どこを改善しなければならないのか、を記録するようにしています。また、プレゼンテーションに参加していた人(同僚など)にも協力してもらい、自分自身のプレゼンテーションを客観的に見直すようにしています。そうすることで、回を重ねるごとに自分の弱点は補われ、徐々にプレゼンテーションに慣れていくのだと思います。

まとめ

プレゼンテーションのコツは「場慣れ」という話があります。これは誰もが口にする話で、回数を重ねるごとに自分の欠点に気が付き、改善されていくので間違いではありません。私自身も何度も失敗し、「次こそは」と思うにつれて少しずつ進歩していった経験があります。しかし、ただただ回数を重ねるだけよりも、具体的な改善ポイントを自分で把握して対策を立て、改善を試みる方が、効率的に上達を早めることだと気が付いた時、上記のようなポイントを自分なりにまとめてみることが重要だと思いました。自分自身の日頃の行動を客観的に見て、上手なプレゼンテーターとどこが違うのか?を考えてみるのが、上達への近道だと私は思います。