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dots.CareerMeetUp – UIUXの巻「うちのUIUX事情/基調講演:BCG Digital Ventures Experience Designer 坪田 朋 氏」

11月26日(土)に渋谷にて、UIUX担当者向けのイベントとして「dots.CareerMeetUp – UIUXの巻」というイベントが開催されました。登壇者はBCG Digital Ventures のエクスペリエンスデザイナー坪田さん、Speeeのアートディレクター篠原さん、ランサーズCTOの横井さん、ウエディングパークのマネジャー西脇さん、三井住友銀行IT戦略室の木村さんという顔ぶれでした。今回は登壇者の方々の話の中で学びになった点をまとめたいと思います。

関係者にどうやってUXデザインの価値を理解してもらうか?

UXデザインは何をもって成功とするかは非常に難しい、という話題はこのイベントでも会話に出てきました。成功したことが実感できるタイミングが数ヶ月・数年後というケースもあるなど、効果を短期的に、且つ明確にで測りにくい概念です。故に、その重要性と身近さ、緊急度、決裁の難しさが多くの企業にあるようです。

実際に制作を担当する人からプロジェクトに関わる関係者たちに、どうやってその重要性を示していくのか?という問題に対して、Speeeの篠原さんからは「権力者を巻き込むこと。社長をワークショップに巻き込むこと。」という意見が挙げられました。

元々トップの意思決定によってUXデザインが事業の中で重視された経緯があれば、トップダウンで社長の口からその重要性を語ったり、一緒にワークショップに参加してもらう機会を作れば、自然と関係者のUXデザインに対する意識も改革されていくというお話でした。

様々な会社の社長の著書の中でも、社長自らその姿勢を行動で示し、結果的に社内のスタッフの意識が変革されていくケースはよく目にします。我々のように実際に手を動かす人たち自身が自分たちの必要とする活動をアピールし、権力のある人の賛同を得ることは、様々な社内政治が渦巻く環境の中では大切であることが伺えました。

UXデザインの価値が通じない環境の場合どうするか

質疑応答の中で「UXデザインの価値を分かってくれない場合はどうしたらよいのか?」という質問があった際、坪田さんからは「価値を認めてくれる会社を選ぶ。自分で選択することが大切。」という回答がありました。

意思決定者が多く、フットワークが重くなる企業の中で、新しい価値観や考え方を受け入れてもらうためには並々ならぬ努力が必要です。自分自身は過去に何千人規模の大企業に勤めた経験はありませんが、やはりそうした無理ゲー感を感じた経験は少なからずあります。

どちらが正しい・間違っているといった話に固執し、貴重な時間をモヤモヤとした気持ちで過ごすくらいであれば、やはり自分が大切にする価値観を共有できるステージに自分自身が近づくことも非常に重要です。時間は無限にあるわけではないので、クリエイター自身も自身のキャリアを厳しい目で見つめて判断する力が必要になります。

このイベントで三井住友銀行の方が登壇していらしたことからも顕著ですが、スタートアップだけでなく、大きな企業もデザインシンキングを取り入れ始めていることがリアルに伺えました。そうした流れの中で、文化を根付かせるところにコミットするか、すでにデザイン文化がある環境でサービスをグロースさせるところにコミットするのかは、クリエイター自身が意識的に選ぶ必要があると感じました。

UI/UXデザイン担当者が身につける必要があるスキル

質疑応答で「UI/UX担当者が今後身につけていく必要があるスキルは?」という質問に対して、ランサーズの横井さんから「知識の深さ、視野の広さ、視差の高さ」という回答がありました。知識の深さは自分自身の専門分野のこと、視野の広さは横軸に居る別の職能に対する理解のこと、視差の高さはビジネスの上流行程への理解のことです。

また別の質問「イケてる・イケてないUX/UI担当者とは?」に対し、三井住友銀行の木村さんからはイケてる人として「ビジネス、エンジニア、デザイナーの架け橋になっている人」という回答が、Speeeの篠原さんからはイケてない人として「UXと言いながら、自分のポジションに閉じてしまう人」という回答がありました。

どの回答からも共通しているのは、UXデザインに関わる際にはビジネス全体を見通す視点を持ち、職能に関係なく目的達成のために協力・理解を惜しまない姿勢を持つことが重要という話です。自らの作業のみの完遂だけを目標とするような視野の狭さでは、ビジネスを通じて顧客に良いUXを与えることはできません。

またUXデザインとは、ユーザビリティやアクセシビリティ同様に、デザイナーやエンジニアなどUXデザイナーという肩書きでなくとも、自分自身の専門知識に加えて持つべき知識です。その考えに対して登壇者の方々の回答は非常に納得できるものでした。

各々の専門分野のスキルや知識は深めつつ、すべてのクリエイターがUXデザインの考え方を身につける必要があると感じました。

サイトパフォーマンスからUXを追及する

見落としがちな視点として、サイトパフォーマンスの視点を大切にするという話がWedding Parkの西脇さんから語られ、非常に参考になりました。情緒的な演出を目的に取り入れた表現がパフォーマンスの悪化を生み、結果的にUXに悪影響を及ぼすケースは多々あります。特にデザイナーは実装フェーズから離れていることが多いため、パフォーマンス観点での使い勝手は改めて認識しなければならないと感じます。

Wedding Parkでは社内の文化としてサイトパフォーマンスを考える活動があり、パフォーマンス改善を盛り上げる社風、パフォーマンス向上のためのハッカソンや合宿、KPI達成による成果報酬(社長からのご馳走)といった文化が作られているという話でした。

海外ではパフォーマンスエンジニアと呼ばれる職業も確立しており、サイトパフォーマンスがUXに密接に関係していることは明白です。Yasuhisa hasegawaさんのポッドキャスト、Automagic Podcastの#175、竹洞陽一郎さんの回でサイトパフォーマンスについて非常に詳しく語られているのを思い出しました。UXをパフォーマンスの視点で考えるヒントが沢山詰まっているので、ぜひ一聴されると良いと思います。

Automagic Podcast #175 竹洞陽一郎さん

人生であと25個くらいしかサービスを作れない

キーノートの坪田さんの話の中で「人生であと25個くらいしかサービスを作れない」という話がありました。自分の現在の仕事のペースを俯瞰して見ると、何年でいくつくらいのサービス開発に関わっているのかが分かります。自分自身が引退する年齢を考えると、あと幾つくらいのサービス開発に関われるのかが分かるということなのですが、坪田さんの場合は「25個」というお話でした。

この件は自分も最近考えることが多く、とても共感できました。近年の自分の働き方を振り返ってみても、長いものだとデザインのフェーズが約半年ほど続く場合もあったり、継続的にサービスをお手伝いするケースも増え続けているため、一定期間に関わるプロジェクト数は減少傾向にあります。

30代を超え、定年する頃の自分のイメージが見え始めると、その時自分はどんなふうに今の自分を振り返るのだろう?と考えるのですが、やはり「全力でやりきった」と言える仕事が沢山あったなと振り返りたいだろうなと感じています。

そうした話を踏まえると、日々目の前にある今現在関わっているプロジェクトこそが、その結果に如実に結びついているということがリアルに感じられるようになります。毎回毎回のプロジェクトに対して、どこまで自分自身の思考を深めることに向き合えるのか、が大切であると感じました。

意識すべきキャリア

坪田さんはキーノートの中で、会社という枠にとらわれずに自身の強みをアピールすることの大切さが語られていました。具体的な例で言うと、SNSを使ったアウトプットであったり、登壇の期会に自身の考えを来場者に伝えるといったものです。

私自身も今年に入って積極的にブログを書くようになり、様々な人と知り合う機会が増えたことで、その大切さを以前よりも意識するようになりました。自ら積極的に思いや考えをアウトプットすると、自分の欲する情報が自然と入り込んでくる流れが生まれ、徐々に環境が変わるものだと感じています。自らの活動をより活性化させるためには、思考を外へ外へと出すことが大切であると感じました。

登壇者の方々の当日のスライドはこちらからご覧ください