デザイナーの成長を大きく左右する「技術力」以外に必要なもう一つの力

デザイナーにとって技術力以外に必要な力とは?

ネット上に溢れ返る「技術力」のヒント

昨今のネット上には、デザイン制作のTIPSやテクニック、フリーの素材やツールをまとめた記事が毎日のようにアップされ続けています。私が働きはじめた2002年の頃はそういったネット上での情報は今ほど豊富ではなく、デザイナーにとっては手軽に有益な情報を得られる便利な時代になったと感じます。

なぜ我々はこういった情報を収集し続けるのか?と考えてみると、それはひとえに「デザインが上手くなりたい」という想いがあるからと言えます。一目見ただけで心を惹き付けて離さないデザイン。デザインの力と魅力を知っているからこそ、その力を自分でも発揮したいと思い、我々は日々自分自身のデザインの腕を磨いているのだと思います。

私もデザイナーとして12年間働いていますが、常に「デザインが上手くなりたい」と考え続けてきました。しかしここ数年で、デザイン力をアップさせるためにはそういったTIPSやテクニック、いわゆる「技術力」を追うだけでは、デザイナーとしての成長に限界があると感じるようになりました。

ヤマアラシのジレンマ

では技術力意外に必要なものとは何でしょう?最近読んだ本、田坂広志著「仕事の思想」の中に、ドイツの哲学者ショーペンハウエルが残した寓話「ヤマアラシのジレンマ」という話が紹介されています。技術力以外に必要な力はこの話の中にヒントがありますので、その一節をご紹介します。

「あるところに2匹のヤマアラシが住んでいました。冬の朝とても寒いので、2匹のヤマアラシは互いに暖め合おうとして身を寄せ合いました。しかしあまりに近くに身を寄せ合ったため、2匹のヤマアラシは自分の体に生えている針によって互いに相手を傷つけてしまいました。その痛みで互いに相手から離れたのですが、今度はまた寒くてたまらなくなりました。そこで再び身を寄せ合おうとしますが、また互いを自分の針で相手を傷つけてしまうのです。こうして2匹のヤマアラシは、離れたり近づいたりすることを繰り返し、ついに最適な距離を見つけ出したのです。現代の職場においては、このショーペンハウエルが示す寓話「ヤマアラシのジレンマ」が溢れています。」

デザイナーにとってもう一つの大切な力「人間力」

この話をデザイナーの職場に置き換えてみましょう。デザイナー自身が1匹目のヤマアラシだとすると、2匹目のヤマアラシは上司や部下、お客様といった、デザインを共に作り上げる上での仲間たちと言えます。

そいった相手と共に良いデザイン、話の中の言葉で言うなら「最適な距離」を見つけ出そうとすると、互いに対話を重ねて正直な意見をぶつけ合うこと、話の中の言葉で言うなら「身を寄せ合うこと」が必要になります。対話を重ねるのには大きなエネルギーを要します。時に互いの意見に納得がいかず、悶々とすることもあるでしょう。話の中の言葉で言うなら「体の針で相手を傷つけること」と言えます。

デザインの現場で意見が食い違った時、自分の意見を否定された時、「コイツは俺のデザインを分かってない」「分かってない人と話を続けても仕方がない」「もう面倒くさいから言われた通りにやるか…」と、自ら相手との距離をとってしまうと、話の中で言う「最適な距離」を見つけられず、寒くて凍えてしまうでしょう。

そういった意見が食い違う状況であっても、「この人の言葉の裏に隠れた想いは何だろう?」「自分の方に何らかの配慮が足りないんじゃないか?」「ここは一歩自分の方が歩み寄ってみよう」という具合に、互いが暖かく感じる最適な距離を探し続けるための行動が、デザイナーには求められます。時にトゲトゲと痛みを伴う歩みよりにも屈しない精神的な強さ、この本の中ではこれを「人間力」と呼んでいます。

技術力と人間力がデザイナーの総合力

最初に述べた「技術力」に加えて、この「人間力」が伴わなければ、デザイナーとしての成長はある段階で止まり、伸び悩むことになります。人間力が伴うことで、様々な困難な状況を一生懸命乗り越えて、お客様や自分のチーム、皆が暖かくなるデザインを作り出すことができるのだと思います。…と、ここまでデザイナーの話に例えてきましたが、そもそものところで言うとこの話はどんな仕事にも共通していることとも言えそうです。

デザイン力をアップしたいと日々考えている方には、「技術力」の強化とともに、この「人間力」の強化についての考えを深めることを意識すると良いと思います。


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