
昨今、いろんな場面で活用される生成AIですが、自分がまだ知らないことをひとまず気軽に調べるリサーチにおいては特に便利だなと思います。仕事/プライベート問わず、ざっと大枠の概要を調べる際に「◯◯◯◯について最低限の知識を教えて」と頼めば、ものの数秒で答えが出力されます。生成AIによる手軽なリサーチは、今や必要不可欠なものになりました。
一方で、どのサービスにも「回答が必ずしも正確とは限りません」といった注意書きが添えられています。AIの回答は便利なものの、間違った学習内容に基づいた回答の可能性もあるため、今や文部科学省の子供向け教育コンテンツの中でも「ファクトチェックをしよう」という呼びかけがあるほど、年齢問わず正しい情報との向き合い方が、より大切な時代になりました。
国際的な調査会社 IDC が2017年に公表していた資料(※1)において、世界のデジタルデータの総量は、2025年までに163ゼタバイト(1兆ギガバイト)に成長すると予測されていました。これは2016年に生成された総量16.1ゼタバイトの約10倍に相当します。2030年頃から6Gが商用利用(※2)されはじめることを踏まえると、私たちはこの先さらに膨大な情報の中に生きていくことになるのは確実です。本当に信頼できる情報を選び取り、自分の知識として蓄積していくには、あらためて正しい情報との向き合い方を学ぶ必要があります。
この記事では、一般的なビジネスパーソンが、日々触れる情報の正しさをどうやって見極めるのか、具体的にどこからどうやって信頼のおける情報を見つけるのか?を考えてみます。できるだけ幅広い職種の方が参照できる情報源から、私自身の専門領域であるデザイナーの領域・視点も交えながらお伝えします。
※ この記事はアドビ社のPR企画「みんなのAI活用」に参加して執筆しました。日頃から活用するAdobe AcrobatやPDFに感謝の気持ちを込めて、Acrobat オンラインツールの便利な使い方を併せてご紹介します。
※1 出所:Data Age 2025
※2 出所:総務省 令和5年 情報通信白書
目次)
- どうやって、情報の正しさを見極めるのか
- どうやって、正しい情報を見つけるのか
- どうやって、情報を知識として定着させるのか
- どこから、正しい情報を見つけるのか
- まとめ
- PR)Adobe Acrobat AIアシスタントのご紹介
1. どうやって、情報の正しさを見極めるのか
そもそも、私たちが日々接する「情報」とは何か。まずはここから考えてみましょう。たとえば、日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)の定義を調べると、1970年に制定された「情報処理用語―基本用語」の中で、情報は次のように説明されています。
“事実、事象、事物、過程、着想などの対象物に関して知り得たことであって、概念をふくみ、一定の文脈中で特定の意味をもつもの。”
(引用:日本産業規格)
つまり、情報には「事実・事象・現象・出来事・物事・過程」という揺るぎない内容に加えて、それを受けた人が考えた「着想・概念」が含まれている、ととらえられます。つまり、情報には次の2種類の内容が混在している、ということです。
- 個人の感情や主観に偏らない公平で客観的な情報(一次情報)
- 特定の発信者の意思・思いが含まれた情報(二次・三次情報)
正しい情報を元に知識を蓄積する上では、できるだけ「一次情報を追う」ことが大切とされています。一次情報とは、自身の体験、調査、実験で得たオリジナルの情報で、他者の解釈が加わっておらず、独自性・信頼性も高いものです。たとえば、国際機関・政府による統計データ、企業による業界レポート、学会・大学を含む教育・研究機関による論文などの情報は、実際の調査データや研究結果を元にしているため、客観性が比較的高い一次情報と捉えられます。
対する二次・三次情報とは、第三者が一次情報をもとに分析、再編集、解釈した情報です。たとえば、新聞記事には少なからず解釈が含まれますし、民間企業・個人が発信する情報は、自社の事業や個人の立場が有利になるよう、表現されている可能性がゼロではありません。これらは特に出典元や引用元の確認が必要で、発信者の意見や解釈まで事実と認識してしまうと、自分の中に誤った知識を蓄えることになります。
Google検索にせよ、生成AIによる Deep Research にせよ、正しい知識を蓄積する上では、その出力結果に対して、どこまでが一次情報で、どこからが二次・三次情報なのか、見極めが必要になることを知っておかなければなりません。
2. どうやって、正しい情報を見つけるのか
2-1. 情報検索のコツ
できるだけ早く正しい情報に辿り着くためには、「だいたい、あの辺りに正しい情報があるぞ」という、正しい情報の土地勘を養うことが大切です。Google検索でも、AIによるリサーチでも、この土地勘を検索の条件として考慮するだけで、ゼロから調べるよりも早く、正しい情報に辿り着けます。
先述したように、国際機関・政府による統計データ、企業による業界レポート、学会・大学を含む教育・研究機関による論文などには、特に客観性が高い情報が集まっています。であれば、まずこうした信頼のおける情報発信元に範囲を絞って情報を探すと、より効率的に、信憑性・客観性の高い情報にたどり着ける、と言えます。次の図の色のついた丸の箇所が、その当該の情報です。

具体的な探し方として、Google検索の場合は、検索キーワードの末尾にスペースを入れ、続けて【site:.go.jp】や【site:.ac.jp】と入力して検索すると、政府機関や大学など信頼度の高い情報源に絞って検索できます。AIによるリサーチも同じ要領で、「政府統計を元に」「国際機関レポートを元に」など、情報を探す先をある程度絞れば、より信憑性・客観性の高い情報を優先して効率的に把握できます。

また、世の中で正式に公開されている情報には、白書、ホワイトペーパー、報告書、レポート、統計など、特有の呼び名があります。これらの言葉の意味を把握し、検索する際に付け加えることで、より照準を絞って正しい情報を見つけやすくなります。
| 呼び名 | 意味 |
|---|---|
| 白書 | 中央官庁が編集する政府刊行物。 |
| ホワイトペーパー | 企業が特定の問題やテーマについて深く掘り下げて解説した資料。 |
| 報告書 | 特定の事柄や業務の進捗・結果について、事実をまとめて関係者(特に上司や上位の役職者)に正確かつ簡潔に伝えるための文書。 |
| レポート | あるテーマについて調査・研究した結果をまとめ、客観的な事実や根拠を示しながら、自分の考えや主張を論理的に説明した文章。 |
| 統計 | 人・物・出来事のある集団について、特性を数量的に測って得られる数値。 |
2-2. Acrobat AIアシスタントの活用
国際機関・政府、大学・学会などの研究機関・団体の資料は、その多くがPDF形式で公開・配布されています。閲覧する環境(パソコン、スマートフォンなど)やソフトウェアに依存せず、元のレイアウトを保持したまま表示できるのが特徴ですが、膨大なページ数の中から、知りたい内容を短時間で読み解くのはとても難しい作業です。
ここで活用できるのが、Adobe Acrobat AIアシスタントです。PDFが開かれた操作画面でAIアシスタントを活用し、「この資料の要点をまとめて」と指示すると、資料の要約を引用元も示しながら瞬時にまとめてくれます。

Acrobat AIアシスタントで「この資料の要点をまとめて」と指示した画面。
AIによるPDFの要約ツールはいくつか存在しますが、わざわざPDFをダウンロードし、アップロードする手間がかかるものが多い印象です。その点、PDFを開いた瞬間からAIによる各種機能を支える Acrobat AIアシスタントは、リサーチを進める上ではるかに効率的です。詳しい活用方法は記事の最後にもまとめていますので、ぜひご参照ください。
「Acrobat AIアシスタント:生成AI文書/PDFツール」はこちら
3. どうやって、情報を知識として定着させるのか
情報を知識として定着させるには、情報を種類やカテゴリごとに分類し、再利用できるよう、頭の中で整理・保管する作業が必要です。ここには私たちがいる世界がどんな構造なのか?という「世の中の全体地図」を、頭の中に土台として形作り、マッピングする作業も含まれています。さらにその土台をベースに、情報同士の関係性を見つけたり、結びつけたりすることで、知識は網の目のように広がっていきます。
ツールが進化するほど、質問に対する結果・結論に至るまでの筋道はショートカットされてしまいます。その結果、自分なりにいろんな道を辿って調べ、頭の中に「世の中の全体地図」を形作る機会が失われやすくなります。また、どこを辿れば正しい情報に辿り着けるのか?という「一次情報の土地勘」を養う機会も、同時に失われます。
知識を商売道具とする上で、この「世の中の全体地図」と「一次情報の土地勘」を自分の頭の中に持つ機会が、知らず知らずに失われるのはとても危険な状況です。こうした便利な状況だからこそ、便利さに流されすぎず、自分で情報の出どころを確かめ、地図を描き直し続ける姿勢が、これからの時代にはより重要になります。

4. どこから、正しい情報を見つけるのか
ここからは「世の中の全体地図」を自分の中に描く上で必要な一次情報の情報源を、デザイナーとして働く観点も含めてご紹介します。近年では、事業ドメインやユーザーの理解、説得力のある提案を実現するために、政府統計・学術論文といった公式情報にアクセスする重要性がますます高まっています。これに対して、信頼のおける一次情報がより集まる場所として「土地勘」を持っておくと、正しい情報を優先して探したり、見つけた情報の正しさを確かめやすくなります。

4-1. 国際機関・政府

まず、私たち人間が生きる上での一番大きな枠組みを考えると、地球規模の「社会」があります。社会とは、人が共通の目的やルールの下で生きるための仕組みであり、それを作るための営みです。社会には多くの課題がありますが、それらの解決のためには国同士の連携が必要で、そのために動いているのが国際機関や政府です。地球規模での社会の状況や構造を正しく知ることは、ビジネスやデザインを前提から考える上でも大切になるため、どこから確認できるかの目星を知っておくのは重要です。
4-1_1. 国際機関
国際機関とは、国際社会共通の利益のために設立された組織のことです。戦争、食料不足、環境問題、気候変動、病気の広がり、難民問題など、1つの国だけでは解決できない「地球全体の問題」に対して、さまざまな国の人たちが協力し、活動しています。国際機関は、国連機関・国際開発金融機関・その他の機関で構成されており、以下はその一例です。
| カテゴリ | 略称 | 目的 |
|---|---|---|
| 国連機関 | 国際連合(UN) | ①国際の平和および安全を維持すること、②人民の同権および自決の原則の尊重に基礎を置く諸国間の友好関係を発展させること、③経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する国際問題を解決すること等について国際協力を達成すること、④これらの共通の目的の達成に当たって、諸国の行動を調和するための中心となること |
| 世界保健機関(WHO) | すべての人々の健康を増進し保護するため互いに他の国々と協力すること | |
| 国連教育科学文化機関(UNESCO) | 国際連合憲章が世界の諸人民に対して人種、性、言語または宗教の差別なく確認している正義、法の支配、人権および基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために教育、科学および文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和および安全に貢献すること | |
| 国際電気通信連合(ITU) | 電気通信に関する国際協力、技術基準の策定、無線周波数スペクトルの管理、開発途上国への技術支援を行うこと | |
|
国際開発 金融機関 |
国際復興開発銀行(IBRD) | 戦争破壊からの復興と開発途上国における生産設備および生産資源の開発であるが、最近は、開発途上国の貧困緩和と持続的成長のための支援 |
| 国際通貨基金(IMF) | 国際通貨協力の促進、国際貿易の拡大とバランスのとれた成長の促進、為替安定の促進、多国間決済システム確立の支援、および国際収支上の困難に陥っている加盟国への一般財源の提供 | |
| アフリカ開発銀行(AfDB) | アフリカ地域の開発途上国の経済的・社会的開発を促進すること |
参考:
外交青書 2024 国際社会で活躍する日本人 外務省
主な国際機関の概要 外務省(PDF)
これらの国際機関の活動や公式発表は、国際連合広報センターで集約されており、日本語による資料もここから公開・配布されています。人類規模での課題の背景や現状を知る際に有益な情報源です。日常生活から少し距離があるため、身近に感じにくいところもありますが、何かのきっかけで「世界にどんな課題があるのか」を調べる際に、これらの情報源を思い出せるようになるだけでも、価値があると思います。
国連機関のレポート資料
資料)World Social Report 2025(世界社会情勢報告 2025)

World Social Report 2025 は、国連事務局経済社会局が発表している、世界の社会情勢を総合的に伝える報告書です。世界的な不平等、経済的不安定、信頼の欠如に焦点を当て、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた公平性、経済的安全保障、連帯を基盤とした新たな政策コンセンサスの必要性を提言しています。
資料)Measuring digital development(デジタル発展の測定)

Measuring digital development は、国際電気通信連合(ITU)が世界のデジタル利用状況やICT環境の実態について記述した年次統計レポートです。インターネットの使用率、ジェンダーデジタル格差、都市部と農村部におけるインターネット利用の格差、5Gの普及率など、世界規模で見た統計が確認できます。
Measuring digital development: Facts and Figures 2025
資料)World Health Statistics(世界保健統計)

World Health Statistics は、世界保健機関(WHO)が、さまざまな保健関連の指標をまとめた報告書です。世界各国の平均寿命・健康寿命、疾病の死亡率・有病率、パンデミック関連のデータなどが確認できます。
4-1_2. 政府統計
政府統計とは、国や自治体が「世の中がどうなっているのか」を把握するために、社会の様子や国民の生活にまつわる情報を集めたもので、言わば「社会の地形図」です。国や自治体が定期的・長期的に大規模なサンプルを収集しているため、代表性が高く、現在の社会の状況を正確に知るためにもっとも参照できる情報源です。日本の統計が閲覧できる「e-Stat」では、17の分野に情報が分類されて紹介されています。
| 分野 | 主な調査例 |
|---|---|
| 国土・気象 | 公共測量実態調査、自然公園等利用者数調査 |
| 人口・世帯 | 国勢調査、人口推計、人口動態調査、生命表 |
| 労働・賃金 | 労働力調査、就業構造基本調査、民間給与実態統計調査、毎月勤労統計調査 |
| 農林水産業 | 農業経営統計調査、農林業センサス、漁業センサス、作物統計調査 |
| 鉱工業 | 薬事工業生産動態統計調査、工業統計調査、経済産業省生産動態統計調査 |
| 商業・サービス業 | サービス産業動態統計調査、商業統計調査、商業動態統計調査 |
| 企業・家計・経済 | 国民経済計算、個人企業経済調査、経済センサス-基礎調査、経済センサス-活動調査 |
| 住宅・土地・建設 | 住宅・土地統計調査、建築着工統計調査、建設工事受注動態統計調査 |
| エネルギー・水 | 経済産業省特定業種石油等消費動態統計調査、ガス事業生産動態統計調査 |
| 運輸・観光 | 港湾調査、自動車輸送統計調査、内航船舶輸送統計調査 |
| 情報通信・科学技術 | 科学技術研究調査 |
| 教育・文化・スポーツ・生活 | 社会生活基本調査、学校基本調査、学校教員統計調査、社会教育調査 |
| 行財政 | 地方公務員給与実態調査 |
| 司法・安全・環境 | 犯罪統計、火災統計、消防年報、登記統計、災害統計 |
| 社会保障・衛生 | 学校保健統計調査、医療施設調査、患者調査、社会保障費用統計 |
| 国際 | 普通貿易統計、特殊貿易統計、オフショア勘定残高、動物検疫統計 |
| その他 | 人々のつながりに関する基礎調査、「絆」と社会サービスに関する調査 |
中でも、内閣府、デジタル庁、総務省、経済産業省、文部科学省、消費者庁が提供する統計は、プロダクトやサービスの利用者を知る上で、もっとも信頼性が高く、長期的に活用できるデータです。情報量が膨大なため、ここでは最低限把握しておけると良い情報を、発信元組織の簡単な説明とともに、ピックアップしてご紹介します。
内閣府

内閣府は、内閣総理大臣を長とする内閣の機関です。内閣や内閣総理大臣の主導による国政運営を実現するため、内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化を目指して設立され、行政事務を分担管理している各省より一段高い立場から、重要な政策に対する企画立案・調整などを行っています。内閣府からは、経済政策、原子力、防災、高齢社会、障害者、交通安全、男女共同参画などに対する白書が公開されており、日本の社会全体の課題と政策の方向性を知ることができます。
資料)消費者動向調査

消費者動向調査は、消費者の意識や物価の見通しを把握し、景気の動向を判断するための調査です。今後の生活水準、収入の増え方、雇用環境等の指標を合成した「消費者態度指数」を毎月公表しています。1957年から継続されている歴史ある調査です。
デジタル庁

デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、政府機関・民間企業・個人におけるデジタル時代のインフラを一気に整備することを目指して作られました。デジタル庁からは、GDP統計を含む国の基本情報や各種政策がダッシュボード形式で公開されていたり、ウェブサービス・アプリケーションの使い勝手や、アクセシビリティ向上において推奨される「デザインシステム」が、誰でも参照できる形で公開されています。
資料)Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード)

Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード)は、国民経済計算(GDP統計)、人口、経済、教育、社会保障、暮らし、社会基盤、地方財政等に関する統計をダッシュボード形式で可視化しています。
Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード)の一覧
経済・財政・人口と暮らし(都道府県ごと)
GDPの四半期別速報
GDPの年次推計
資料)政策ダッシュボード

政策ダッシュボードは、マイナンバーカードの普及・利活用、自治体のDXへの取り組みといった行政手続きに対する取り組みや、健康・医療・介護、教育、こども等、準公共分野のデジタル化に関する取組を可視化しています。
政策ダッシュボード一覧
マイナンバーカードの普及
自治体での子育て・介護関係の26手続のオンライン化取組状況
社会のデジタル化やデジタル行政サービスの意識調査の結果
資料)デザインシステム

デジタル庁デザインシステムは、官公庁や地方自治体などの行政機関や、公共性の高い組織等のデジタルサービスで利用されるデザインプラットフォームです。「アクセシビリティファースト」「行政機関にとって高い汎用性と利便性」「継続的かつ持続可能な改善活動および研究と実践」を理念として作成されており、行政機関に限らず、多くの民間企業からも参照されています。
総務省

総務省は、日本の社会基盤を支える仕組みを幅広く担う省庁です。自治体の支援や地域活性化、行政サービスのデジタル化、放送・通信といった情報インフラの整備まで、私たちの暮らしを下支えする多様な領域を所管しています。総務省からは、情報通信、地方行政、統計などに関する白書が公開されており、日本の社会構造やデジタル環境の今を把握し、これからの行政サービスや地域づくりの方向性を読み解くことができます。国勢調査も総務省が実施しています。
資料)情報通信白書 〜 国内外の通信・放送・IT産業の統計 〜

情報通信白書は、情報通信の現況や政策の動向をまとめたもので、1973年(昭和48年)から毎年発行されています。情報通信分野のトレンド、国内外の通信・放送・IT産業の統計が掲載されており、近年は生成AIにまつわる情報も特集されています。
経済産業省

経済産業省は、民間の経済活力を高め、国際的な経済関係を円滑にして産業を発展させること、そのために鉱物資源とエネルギーを安定して効率よく確保していくことを任務とする省庁です。経済産業省からは、通商政策の考え方・方向性を示す「通商白書」、製造業の動向や課題について説明した「製造基盤白書(ものづくり白書)」などの報告書が公開されており、私たちの生活における産業と技術の変化に対する情報を得られます。
資料)通商白書 〜 国際経済の動向、貿易・交易に影響する諸外国の政策分析 〜

通商白書は、国際経済の動向、貿易・交易に影響する諸外国の政策分析を通じて、通商政策の考え方・方向性を示すために毎年発行している報告書です。日本の通商政策形成に貢献し、国民に政策の方向性を示すことを目的としています。
文部科学省

文部科学省は、教育・科学技術・スポーツ・文化などの領域を担う省庁です。資源が限られる日本が世界で活躍し続けるために欠かせない役割を担っており、人々が心身ともに豊かに暮らせるよう、法律や計画に基づく取り組みを進めています。この省庁からは、教育や科学技術政策の動向などをまとめた「文部科学白書」、研究開発や技術革新の進展を取り上げた「科学技術・イノベーション白書」などの報告書が公開されており、科学技術の潮流や将来の方向性といった情報を得られます。
資料)文部科学白書

文部科学白書は、文部科学省の施策全体について記述した年次報告書です。国が現在どのような教育・科学技術政策を進めているのかといった政策の動向や、災害や地域再生といった社会課題への対応に対する取り組みがまとめられています。
資料)科学技術・イノベーション白書

科学技術・イノベーション白書は、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して行った施策について取りまとめている報告書です。科学技術政策の動向、その年の重要な話題を特集する2部構成になっています。
消費者庁

消費者庁は、消費者が安全で安心して暮らせる社会をつくるために設立された国の機関です。製品事故や悪質商法、食品表示といった生活に直結する問題に対し、専門的な調査やルールづくり、企業への指導などを行い、消費者被害の未然防止と救済を進めています。省庁横断で情報を集め、必要な政策を迅速に調整する役割を持つことも特徴です。消費者庁からは、消費者政策の動向や事故情報、食品安全に関する資料などが公開されており、社会全体で目指すべき消費者保護の姿を知ることができます。
資料)消費者白書

消費者白書は、主に消費者事故・被害の集約・分析データ、全国消費者意識基本調査の結果、消費者相談件数の統計をまとめたものです。消費者保護や教育の観点から、日常生活や社会全体のトレンドを把握するための資料として活用されています。
4-2. 民間企業

次に、国際機関や政府がつくる大きな社会の枠組みの中で、実際に価値を生み出し、社会を動かしているのが企業です。企業は、製品やサービス、技術を通じた具体的な解決策を提供しますが、その中で発信されるレポートは、主に特定の市場・産業における現状・動向の理解に役立ちます。特定の業界における売上や市場規模、成長率、消費者の動向、技術革新、規制の影響など、1社だけでは把握しきれない「業界全体の状況」に関する情報を整理しています。代表的なものとしては、リサーチ会社、コンサルティング会社、シンクタンクのレポートが参考になります。
4-2_1. リサーチ会社

リサーチ会社は、市場動向や消費者行動、競合状況などを体系的に調査・分析する組織です。統計やアンケート、インタビューなど、さまざまな調査手法を用いて実態を把握し、その結果をレポートとして提供します。国内にはマーケティング調査に強い企業や、IT分野の動向を専門とする企業が多く、海外ではガートナーやフォレスターなど、世界中の企業が参考にする指標やランキングを提供する企業があります。
知るギャラリー|インテージ
市場調査レポート・お役立ち資料|マクロミル
無料調査レポート|クロスマーケティング
ガートナージャパン
フォレスター
4-2_2. コンサルティング会社

コンサルティング会社は、企業が抱える経営・事業・組織などの課題に対し、専門的な知見を基に解決策を提示し、必要に応じて実行支援まで行う組織です。戦略立案から業務改善、DX推進、人材育成など、支援領域は広範にわたります。日本では総合系・戦略系・IT系などのコンサルティング会社があり、海外ではマッキンゼー、アクセンチュア、BCGなど、世界的に影響力のある企業の知見を参照できます。
知見|マッキンゼー・アンド・カンパニー(海外)
知見|アクセンチュア(海外)
論考|ボストン コンサルティング グループ(海外)
インサイト|アビームコンサルティング(国内)
論考・レポート|ベイカレント(国内)
4-2_3. シンクタンク

シンクタンクは、政治、経済、技術など、幅広い分野における社会課題への深い洞察・研究結果を提供する組織で、一般的に「◯◯総研」などの略称で呼ばれます。コンサルティング会社は実行支援を含む経営課題解決に特化しているのに対し、シンクタンクは分析結果をまとめて政策提言を行うのが一般的な考え方ですが、近年ではシンクタンクもコンサルティング業務の一環を担うケースもあります。国内では、政府や自治体、金融機関、広告代理店、総合電機メーカーを母体とする組織があります。
レポート | 野村総合研究所(NRI)
ナレッジ・コラム|三菱総合研究所(MRI)
経済・政策レポート|日本総研(JRI)
リサーチ|みずほリサーチ&テクノロジーズ
ライブラリ | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
4-3. 団体

企業とは別の枠組みで、特定の分野や専門領域における知識・実践を深める場として「団体」があり、その種類は学会、協会、振興会、機構などさまざまです。これらは業界ごとに存在しており、専門的な知見の共有、業界基準の整備、人材育成などを担っています。特定の領域について深く学び合える場であり、業界に対してより良い価値を届けるための足場となる存在です。ここでは主に、デザイン・ウェブ・UX・UIの領域に関する団体をご紹介します。
| 名称 | 一般的な意味合い・目的 |
|---|---|
| 学会 | 学術研究の発展、知識共有(研究者中心)を目的とします。 |
| 協会 | 会員の相互協力や特定の目的達成、業界振興を目的とします。 |
| 振興会 | 特定の分野・地域・文化の発展を積極的に推進します。 |
| 機構 | 比較的大規模で組織的な運営を行い、特定の専門的な機能を果たします。 |
| 連盟・同盟 | 複数の団体や個人が共通の目標のために連携します。 |
| 組合 | 会員の相互扶助や共同事業を行います。 |
| 協議会・会議 | 複数の関係者が集まり、調整・議論・意思決定を行う場です。 |
| 研究会 | 特定のテーマに関する調査研究や情報交換を行います。 |
| 財団 | 寄付された財産を基に、公益的な事業(奨学金、研究助成など)を行います。 |
| 社団 | 人の集まりを基盤とする団体です。 |
4-3_1. 学会
学会とは、学術(学問と芸術)の研究を目的とする集まりです。学問という言葉を深掘りして調べてみると、特定の分野において学び、問い、方法論を含む知識を身につけること、などと解説されています。これらを目的とする学会は、金銭的な利益よりも、特定分野の学問としての発展に重きを置いていると言えます。主に大学などの研究者、その分野の専門家が会員で、学術大会の開催、査読(※)付き論文の出版、研究倫理の推進など、学術的な活動が中心です。
※ 投稿された論文をその学問分野の専門家が読み、内容の査定を行うこと
日本デザイン学会(JSSD)

日本デザイン学会は、会員相互の協力によってデザインに関する学術的研究の進歩発展に寄与することを目的として設立された団体です。役員や理事は全国の大学教授によって構成されており、研究内容に応じた幅広い部会に分かれています。ウェブサイトからは論文や作品も参照でき、毎年春季・秋季にさまざまな大学が幹事校となる研究発表大会も行われています。
JSSD – 日本デザイン学会
論文集・辞典|JSSD – 日本デザイン学会
ヒューマンインタフェース学会(HIS)

ヒューマンインタフェース学会は、人とシステムの関わりに関する研究の発展を目的とする団体です。専門研究委員会を通じて多様な分野の議論を促し、論文誌の発行やシンポジウム開催を通じて、HCIやUXなど実務に役立つ知見を広く共有しています。
日本人間工学会(JES)

日本人間工学会は、人間工学に関する諸研究およびそれに関連する事業を促進することを目的として設立された団体です。人の身体・認知・行動特性に基づいて、作業環境や製品・サービスの安全性と使いやすさを科学的に検証・提案しています。オフィス、医療、交通など多分野で人間中心設計の研究や普及を進めています。
JES 一般社団法人 日本人間工学会 -Japan Ergonomics Society-
4-3_2. 協会
協会とは、特定の分野や職能に関わる人々が集まり、その領域の発展や社会的価値の向上を目指して活動する団体です。学会が学術研究の発展が主な目的なのに対し、協会は実務や産業との接点を持ちやすく、専門知識の普及、技術水準の向上、倫理基準の整備、人材育成など、より社会実装に近い役割を担います。会員には実務者・企業・教育機関など多様な立場の人が含まれ、研修や認定制度、イベントの開催、ガイドライン作成などを通して、その分野全体の発展を支えることを目的としています。
一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)

ウェブ解析士協会は、ウェブサイトの解析やデジタルマーケティングの知見を広く普及させる民間団体です。アクセス解析、ユーザー行動分析、改善提案の手法などを体系化し、講座や資格を提供することで、実践的なウェブサイト改善力の向上を支援しています。
一般社団法人 UXインテリジェンス協会(UX INTELLIGENCE ASSOCIATION)

UXインテリジェンス協会は、UXインテリジェンスの啓蒙と普及促進、UX事例の発掘・共有を目的として設立された団体です。デジタル前提時代により善い社会をつくるため、あらゆる提供者が持つべき精神と能力を「UXインテリジェンス」と定義し、その啓蒙と普及促進や、UX事例の発掘・共有に取り組んでいます。
公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)

日本グラフィックデザイナー協会は、グラフィックデザインに関する知識や経験を、交流と活用を通じて向上させ、生活文化や産業の発展に寄与することを目的として設立された団体です。主に広告・ポスター・出版・パッケージなどが対象で、アワード、展覧会、情報共有を通じてデザイン文化の振興に取り組んでいます。
Interaction Design Association – IxDA

Interaction Design Association(IxDA)は、インタラクションデザインの普及と推進を目的とした団体です。過去、日本では2018年にインタラクションデザインを推進させるイベント、World Interaction Design Day(IxDD)を開催しており、イベントやオンラインフォーラムを通じて、最新の実践や考え方を共有しています。
Interaction Design Association – IxDA
User Experience Professionals Association(UXPA)

User Experience Professionals Association(UXPA)は、ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する専門家の国際的な団体です。UXデザイン、ユーザビリティ、サービス設計などに関するガイドライン、教育、ネットワーキングを提供し、UXの専門性と普及を支援しています。
User Experience Professionals Association(UXPA)
その他のデザイン系の協会
公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)
公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会(JID)
公益社団法人 日本サインデザイン協会(SDA)
公益社団法人 日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA)
一般社団法人 日本空間デザイン協会(DSA)
公益社団法人 日本パッケージデザイン協会(JPDA)
4-3_3. その他
公益社団法人 日本デザイン振興会(JDP)

日本デザイン振興会は、デザインの向上を図り、産業活動のさらなる推進と生活の文化的向上と社会全般の健全な発展に寄与することを目的として設立された団体です。グッドデザイン賞の主催としても知られており、プロダクト、建築、グラフィック、UXなど多様なジャンルを対象に、優れたデザインの評価と普及を行っています。
特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)

人間中心設計推進機構は、HCD(Human Centered Design:人間中心設計)に関する学際的な知識を集め、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会作りに貢献することを目的として設立された団体です。UXデザイナーの名刺とも言える、人間中心設計専門家・スペシャリストといった認定制度を運営しています。
Nielsen Norman Group(NN/g)

Nielsen Norman Group(NN/g)は企業ですが、UX・ユーザビリティの領域で「協会」に相当する影響力を持っています。ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセンと、人間中心設計を提唱した認知科学者ドナルド・ノーマンが設立した企業で、トレーニング、コンサルティング、調査レポート、無料の記事や調査結果を提供しています。
Nielsen Norman Group: UX Training, Consulting, & Research – NN/G
4-3_4. 論文
団体の中、主に学会で発表される情報である、論文についてもここで触れておきましょう。論文とは、研究者が自分の研究内容を正式にまとめ、社会に向けて発表するための文章です。しばしば「研究者の名刺代わり」とも言われ、研究者がどんなテーマに取り組み、どんな成果を得たのかを示す重要なアウトプットになります。先にご紹介した国際機関や政府の統計が「データそのもの」であるのに対し、論文は「データをどう読み解いたか、そこから何が言えるか」まで含まれた情報になります。
論文は、その分野で現在どこまで研究が進んでいるのか、つまりエッジ(最先端)を知るのに最適な情報源です。研究を志す人がその分野を初めて学ぶ際には、先輩の研究者から「まずはエッジを見ろ」と言われるほど、その分野の第一人者や最新の知見が豊富に蓄積されています。
論文を書くのは大学の研究者だけではなく、企業の研究部門に所属する人も、自社のミッションや事業の方向性と結びついたテーマで執筆することがあります。企業と大学の研究室は密接に連携していることも多く、組織の枠組みを越えた共通の文化として論文執筆が存在しています。
また、論文の最大の特徴として、査読(さどく)と呼ばれる仕組みがあります。これは、同じ分野の専門家が内容をチェックし、信頼できるかを審査するプロセスで、情報としての質と信頼性は、一定以上ここで保証されます。また、新規性(新しい事実・新しい知見) が非常に重視されるため、過去の知識をまとめるだけでは不十分となり、その分野における新しい知見を加えることが求められます。国内の学会よりも、国際学会の方がこの基準が厳しく、採択される難易度も高い傾向があります。
たとえば、近年公開されたデザインに関する論文をざっと調べてみると、次のような「お、読んでみようかな」と思わせるタイトルが並んでいました。日頃の業務と直結していなくても、視野を広げる上での刺激になったり、単純に読み物として興味深いものが含まれるのではないでしょうか。
BtoB 企業製品のユーザビリティ評価⽅法の研究(2025年)
BtoB企業の操作性向上を目指し、東京エレクトロンと大学の共同研究として、操作ログの可視化ツールの効果を検証したもの。
ポスターデザインに含まれる余⽩領域の抽出(2025年)
広告デザインにおける余白(ホワイトスペース)領域の抽出と評価を行い、直感的に認識される余白の重要性を示唆したもの。
国内外におけるデザイン賞の比較 — グッドデザイン賞とRed Dot Design Award を事例にして(2024年)
日本を代表するデザイン賞である「グッドデザイン賞」と、国際的なデザイン賞である「レッドドットデザイン賞」の評価視点の違いを調査したもの。
デザイナーによるファシリテーション: 翻訳家・よそ者としてのデザイナー像(2024年)
デザインの役割が物の意匠から多様なステークホルダー間のファシリテーションへと拡張する中、デザイナーの主観性が合意形成に与える影響を考察したもの。
明治期の日本における社会通念としての「美術」の受容過程(2022年)
明治時代における「美術」の社会通念の形成過程を計量テキスト分析を用いて明らかにした調査したもの。
ロングセラー商品のパッケージに継承されるデザインの法則性(2020年)
大正期から続く食品パッケージデザインにおける「色面積比率」の法則性を検証。ロングセラー商品のグラフィックデザインにおける一貫性の重要性を示唆したもの。
文字の太さによる印象の変化 — 明朝体・ゴシックたいのひらがなとカタカナを中心に(2016年)
明朝体とゴシック体のひらがな・カタカナにおける文字の太さが印象に与える影響を、実験心理学的手法で調査したもの。
論文が探せる・読めるウェブサイト
Google Scholar

Google Scholar は、学術論文や学会発表、書籍など、さまざまな学術情報を横断的に検索できるサービスです。分野を問わず世界中の研究成果を探すことができ、引用数の表示や関連研究の提示など、研究の広がりを把握する機能も備えています。研究の入り口として多くの研究者や学生に利用されています。
J-STAGE

J-STAGE(ジェイ・ステージ)は、日本最大級の学術論文の電子ジャーナルプラットフォームです。「日本の学術論文を無料で読むなら、まずJ-STAGEを見ろ」と言われるくらい定番のサイトで、学生や研究者が論文を探す際にはGoogle Scholarと並んで必ずチェックされます。
4-4. 個人

ここまで、国際機関や政府、企業、団体が発信する情報を見てきました。これらは比較的、個人の感情や主観に偏らない、公平な情報が多いことは確かですが、あくまで「誰かが編集した情報」であることは変わりません。情報を加工する中での見落としや、編集者による偏りが入り込む可能性は残ります。
では何が確実に信頼できる情報なのかと考えると、残されるのは、第三者の視点にまったくとらわれない、自分が見聞きした「生」の情報しかありません。この情報を得るには、自分で現地に足を運んで状況を調べる、関係者に直接話を聞くといった行動が必要です。企業の創業者がたびたび現場を訪れるといったよく耳にするエピソードも、自分のアンテナを大切に、一時情報に向き合う象徴的な行動と言えます。
この記事では詳細な解説は割愛しますが、たとえば自ら現地を訪れて調査を行うフィールドワーク、被験者を募ってサービスやプロダクトの使用感を確認するユーザーテスト、利用者に質問するインタビューなど、デザイナーにとっては馴染みのある手法は、個人やチームといった最小単位で客観的な情報を得るための方法です。デスクリサーチで得られる客観性の高い情報に、自身で得た一次情報を組み合わせることで、より奥行きと実態を伴った示唆が得られるのではないでしょうか。
まとめ
生成AIの登場によって、調べる行為そのものは以前より確実に楽になりましたし、今後もさらに便利になるはずです。一方で、その情報が本当に信頼できるのか、どこまでが事実でどこからが解釈なのかを判断する力は、むしろ以前より求められます。この記事で挙げた調べ方や情報源は、特段目新しいものではないかもしれませんが、こうした便利なAI時代において、少しでもみなさんの日々の業務の中で「確かな判断」をするための助けになれば幸いです。
そして、ここまで一次情報を確認することの大切さをお伝えしてきましたが、お伝えしたいのは「二次・三次情報は決して信じてはならない」という極端な二元論ではありません。二次・三次情報には誤った解釈や偏見が含まれる可能性は十分ありますが、第三者の整理や解説が入ることで分かりやすくなる、発信者の考えや思いが加わることで人の心をより強く動かす、といった良い側面もあります。これらの特徴を十分に理解した上で情報と向き合うことが大切だと、私は思います。
なお、このエントリーをまとめるにあたり、情報収集のノウハウをいろんな著書から参照させていただきました。中でも、リサーチと事業支援コンサルティングを行う企業、Cobe Associe代表の田中志さんの著書「情報を活用して、思考と行動を進化させる」は、特に分かりやすく実践しやすい内容でした。本エントリーでご興味を持たれた方は、ぜひこちらもご一読いただけると、より理解が深まるのでおすすめです。
PR)Adobe Acrobat AIアシスタントのご紹介

最後に、私たちビジネスパーソンの業務を常にサポートしてくれる、アドビ製品についてもご紹介させてください。この記事の中でいろいろとご紹介した、国際機関・政府の資料、大学・学会などの研究機関・団体の資料・論文の多くは、PDF形式で公開・配布されています。客観性を高く保つこと、主に専門家に向けて書かれていることから、その内容は一般の人が読み解くにはハードルが高いものが多くあります。
ここで活用できるのが、Acrobat AIアシスタントです。実は私も、この記事作成にあたってAcrobat AIアシスタントをフル活用させていただきました。記事中では資料の自動要約についてまずご紹介しましたが、ここからはさらに詳しくご紹介します。1分で見れる概要紹介動画がありますので、まずはここからご覧ください。
開いた「瞬間」に内容を自動で要約

資料を開くと同時に、AIが自動的に内容を解析し、要約と主要なトピックを提示してくれます。要約内容から、そもそもこの資料が参照に値するものなのか、どのあたりが参照できそうかを瞬時に把握でき、読むべき箇所の当たりをつけられます。もちろん、英語の資料も日本語で要約されます。
AIアシスタントにはチャットで指示

さまざまな生成AIのインターフェースで採用されている「チャット形式」は、Acrobat AIアシスタントでも採用されており、カジュアルな対話で質問・指示を出すことができます。画面右側に表示された入力エリアに指示を出すことで、そこに返答する形でAIからの回答が表示されます。
回答の引用元を明示

AIの回答には、ドキュメント内のどこに基づくかを示す「脚注(リンク)」が付いており、リンクをクリックすると、該当箇所が表示されます。AIが事実とは異なる情報を勝手に作り出すハルシネーションを起こしていないか、利用者自身が確認しやすくなっています。AIアシスタントのチャット機能はオンラインでも無料で試せるので、ぜひ一度、使い勝手を確かめていただければと思います。
「Acrobat AIアシスタント:生成AI文書/PDFツール」はこちら
複数のPDFを横断した分析・検索

面白い使い方として、複数のPDFを横断して分析・検索できる機能があります。たとえば、上記の画像は2つの業界のアクセシビリティに関するPDFドキュメントに対して、共通して配慮が必要なアクセシビリティのポイントを挙げるよう、指示したものです。自分が属する業界以外のアクセシビリティについてゼロから調べるのは大変な作業ですが、この機能を使えば機械的にポイントを押さえられます。
この機能はいろんな可能性を秘めており、たとえばこんな使い方も考えられます。
業界レポート複数本のクロス分析
関連する業界レポートや白書(過去数年分)を複数PDFで読み込み、「共通する変化」「分野ごとの違い」「市場の伸び」「課題の傾向」などをAIに聞くことで、より視野の広いトレンドマップを描けます。
ドキュメントの変更点の把握
たとえば、仕様変更前後のドキュメントや、通年で公開されている統計の複数年分のPDFを並べてAIに分析させ、「変更点・差分」を要約してもらうことで、アップデートされたポイント、新たに追記された内容などを、短時間で把握できます。
多様な文書を統合してインサイトを抽出
ユーザーインタビューの議事録、定性調査報告書、業界分析PDFなどをすべて読み込ませ、「共通課題」「頻出するキーワード」「潜在ニーズ」「改善アイデア」などをAIに抽出させることで、“人の声”を含めた包括的な理解が得られます。
まとめ
Acrobat AIアシスタントはアドビのセキュリティ基準に準拠しているので、アップロードされたドキュメントやAIとの対話データが外部の学習データとして利用されることなく、機密性の高いビジネス文書でも安心して利用できます。
また、実はPDFだけでなく、Microsoft Word、Microsoft PowerPoint、テキストファイルなどの形式もAcrobat上での読み込みが可能です(自動的にPDFに変換して処理されます)。これにより、資料の形式を問わず、Acrobat AIの強力な分析・要約機能を活用できます。
扱う情報が増え続ける今だからこそ、信頼性と効率を両立できるツールを味方にする価値があります。未契約でも無料でAIアシスタントへの質問ができるので(回数制限あり)、まずは身近な資料から試してみて、その変化を実感してみてください。
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